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ツルゲーネフの煙に影響を与えた本

ツルゲーネフの煙に影響を与えた本

ニコライ・チェルヌイシェフスキー著 何をなすべきか

イワン・ツルゲーネフの小説『煙』は、1860年代のロシアの思想界における西欧主義者とスラヴ主義者の対立を描いた作品ですが、その背景には、ニコライ・チェルヌイシェフスキーの小説『何をなすべきか』の影響を見て取ることができます。『何をなすべきか』は、1863年に発表された小説で、当時のロシア社会、特に知識人の間で大きな反響を呼びました。

この小説は、主人公であるラフメトフという青年が、革命運動に身を投じていく過程を描いたものです。ラフメトフは、当時のロシア社会の矛盾を鋭く見抜き、それを打破するために革命が必要であると考えるようになります。彼は、自分のような「新しい人間」こそが、ロシアを未来へ導くことができると信じており、その信念のために、私生活のすべてを犠牲にする覚悟を決めています。

『何をなすべきか』は、単なる革命小説ではなく、新しい社会、新しい人間像を提示した作品としても高く評価されました。チェルヌイシェフスキーは、この小説の中で、男女平等、自由恋愛、共同生活といった、当時としては非常に先進的な考え方を提示しており、多くの若者を魅了しました。

ツルゲーネフは、『何をなすべきか』に描かれたラジカルな思想や、それが若者世代に与える影響力を危険視していました。『煙』の作中では、『何をなすべきか』を熱心に読む若者たちが登場し、その姿は嘲笑的かつ批判的に描かれています。ツルゲーネフは、『何をなすべきか』のような作品が、若者を煽動し、ロシア社会を混乱に陥れるのではないかと危惧していたのです。

『煙』は、『何をなすべきか』に対する直接的な反論として書かれたわけではありませんが、当時のロシア社会における思想的な潮流や、それに対するツルゲーネフ自身の複雑な思いが反映された作品と言えるでしょう.

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