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ダンテの神曲の案内

ダンテの神曲の案内

ダンテの神曲とは?

ダンテ・アリギエーリによって1308年から1320年にかけて書かれた叙事詩。「神曲」という題名は、後世の人々によって付けられたものであり、原題は単に「Commedia(喜劇)」である。これは、古典的な意味での「喜劇」であり、悲劇のように恐ろしい場面から始まり、最終的には喜ばしい結末を迎える物語構成を指している。

物語の構成

「神曲」は、地獄(Inferno)、煉獄(Purgatorio)、天国(Paradiso)の3部構成から成り、それぞれ33歌からなる。加えて、地獄編の冒頭に導入部となる1歌が置かれ、全体で100歌となる。各歌は、 terza rima と呼ばれる、ABA BCB CDC … という韻律を持つ三行連詩で書かれている。

物語のあらすじ

「神曲」は、ダンテ自身が主人公として登場し、死後の世界を旅する物語である。

* **地獄編**: 1300年の聖金曜日の夜、人生の半ばにさしかかったダンテは、罪深い生活を送っていたために、正しい道を踏み外してしまう。深い森の中で迷い、恐怖に怯えるダンテの前に、古代ローマの詩人ウェルギリウスが現れる。ウェルギリウスは、ダンテを導き、地獄、煉獄、天国へと旅する。地獄は、地球の中心に向かって広がる円錐形の場所で、罪の種類と重さによって9つの圏に分けられている。ダンテは、それぞれの圏で、様々な罪を犯した人々が罰を受けている様子を目にする。
* **煉獄編**: 地獄の最下層を抜けると、煉獄山の麓に出る。煉獄山は、南半球の海上にそびえる山で、頂上には地上の楽園が広がっている。煉獄は、生前に悔い改めることができなかった罪を償う場所であり、7つの段丘に分けられている。ダンテは、それぞれの段丘で、浄化のための試練を受けている人々に出会い、自らの罪を反省する。
* **天国編**: 煉獄山の頂上に到達したダンテは、地上楽園でベアトリーチェと再会する。ベアトリーチェは、ダンテが生涯愛した女性で、天国からダンテを救うためにウェルギリウスを遣わした。ベアトリーチェに導かれ、ダンテは天国へと昇っていく。天国は、地球を取り巻く9つの天球と、その上に位置するエンパイア天から成り、神への愛によって満たされている。ダンテは、それぞれの天球で、聖人や天使たちと出会い、神の栄光を目の当たりにする。

「神曲」における寓意

「神曲」は、単なる死後の世界の物語ではなく、当時の社会や政治、宗教に対する風刺や批判、そして人間存在についての深遠な洞察が込められている。例えば、ダンテが地獄で出会う人々の多くは、当時の実在の人物をモデルにしており、彼らの罪と罰を通して、当時の社会の腐敗や堕落を告発している。また、「神曲」は、人間の魂の救済の物語としても読むことができる。ダンテは、自らの罪と向き合い、悔い改め、神への愛へと導かれることによって、魂の救済へと至る。

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