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ダンテの神曲の原点

ダンテの神曲の原点

ダンテの時代背景

1265年、フィレンツェに生まれたダンテ・アリギエーリは、激動の時代に生きました。当時、フィレンツェは経済的に繁栄する一方、教皇派(ゲルフ)と皇帝派(ギベリン)の対立が激化していました。ダンテも政治活動に積極的に参加し、ゲルフ党の一員として活動していました。しかし、政争に敗れたダンテはフィレンツェを追放され、その後は各地を放浪しながら晩年を過ごしました。

神曲の成立

『神曲』は、ダンテがフィレンツェ追放後の1308年頃から執筆を開始し、亡くなる1321年までかけて完成させた長編叙事詩です。全100歌からなり、『地獄篇』(34歌)、『煉獄篇』(33歌)、『天国篇』(33歌)の3部構成となっています。

古典文学の影響

『神曲』には、古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』の影響が色濃く見られます。『アエネーイス』は、ローマ建国にまつわる英雄アエネーアースの冒険を描いた作品です。ダンテは『神曲』において、ウェルギリウスを地獄と煉獄の案内役として登場させています。これは、ウェルギリウスを自身の文学的師と仰いでいたことを示唆しています。

聖書の影響

『神曲』はキリスト教的世界観に基づいており、聖書のエピソードや登場人物が多数登場します。例えば、『地獄篇』の構成は、キリストの地獄降下を描いた新約聖書の「使徒言行録」や「ペトロの手紙」などを参考にしていると考えられます。また、ベアトリーチェという女性を天国の案内役としている点も、聖書の登場人物である聖母マリアを想起させます。

中世神学の影響

『神曲』は、トマス・アクィナスの『神学大全』をはじめとする中世スコラ哲学の影響を受けています。スコラ哲学は、理性に基づいてキリスト教の教義を体系化しようとする試みでした。『神曲』においても、地獄、煉獄、天国という3つの世界が秩序と階層に基づいて詳細に描写されており、ダンテのスコラ哲学への深い理解がうかがえます。

ダンテの個人的体験

『神曲』は、ダンテ自身の個人的な体験や思想が色濃く反映された作品でもあります。フィレンツェ追放という苦難の経験は、『地獄篇』に描かれる地獄の苦しみと重ね合わされています。また、ベアトリーチェへの崇拝は、ダンテが現実の女性に抱いたプラトニックな愛に基づいていると考えられています。

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