## ダンテの神曲のテクスト
ダンテの神曲における言語と韻律
ダンテの『神曲』は、14世紀初頭に書かれた長編叙事詩です。イタリア語の方言であるトスカーナ語で書かれ、イタリア文学の礎となっただけでなく、イタリア語の標準語確立にも大きく貢献しました。
『神曲』は、 terza rima と呼ばれる韻律形式を採用しています。これは、ABA BCB CDC … というように、3行ごとに韻を踏む形式で、詩に独特のリズムと推進力を与えています。
寓意と象徴
『神曲』は、単なる地獄、煉獄、天国の旅を描いた作品ではありません。ダンテ自身の魂の救済の旅を寓意的に描いたものであり、当時の政治や社会、宗教に対する風刺や批判が込められています。
作品全体にわたり、数多くの象徴的なイメージや人物が登場します。例えば、3という数字は、キリスト教の三位一体を象徴しており、詩の構成(地獄、煉獄、天国の3部構成、各部33歌+序歌1歌の計100歌)にも反映されています。また、ウェルギリウスは、人間理性を、ベアトリーチェは、神の愛を象徴しています。
歴史的背景とダンテの思想
『神曲』は、14世紀初頭のフィレンツェという都市国家の激動の時代背景の中で書かれました。ダンテ自身も政治に関与し、フィレンツェを追放された経験を持っています。作品には、当時の教皇庁の腐敗や、政争の渦巻くフィレンツェ社会に対する批判が色濃く反映されています。
ダンテは、アリストテレス哲学やトマス・アクィナスの神学に影響を受け、キリスト教的世界観に基づいた独自の思想を展開しています。