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ダンテの煉獄篇に影響を与えた本

ダンテの煉獄篇に影響を与えた本

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アエネーイス

ウェルギリウス作の叙事詩『アエネーイス』は、ダンテの『神曲』全体、特に『煉獄篇』に大きな影響を与えた作品です。ダンテが最も敬愛する詩人の一人であるウェルギリウスは、この作品において、ローマを建国することになることになるトロイアの英雄アエネアスの物語を語っています。アエネアスの旅の途中で冥界へ降りるという場面は、『神曲』の構成に直接的な影響を与え、ダンテは自らの案内役としてウェルギリウス自身を登場させています。

『アエネーイス』の影響は、『煉獄篇』の構造と象徴主義に見ることができます。『アエネーイス』第6巻でアエネアスが訪れる冥界は、罰と浄化の場所として描かれており、これはダンテが『煉獄篇』で描いた山と同様の概念です。ウェルギリウスは、罪の性質に応じた罰が下される場所を描写することで、死後の世界の階層性を示唆しており、ダンテはこの概念を発展させて、自身の煉獄における7つの円環を作り上げました。

さらに、ウェルギリウスがアエネアスの旅に付随する道徳的、精神的な意味合いを探求している点は、『煉獄篇』の重要なテーマである罪、罰、贖罪というテーマと共鳴しています。アエネアスの旅は、ローマという偉大な国家の建設という目的のために、個人的な苦難や精神的な成長を経験することを余儀なくされる様子を描いており、これはダンテが『煉獄篇』で表現しようとした、魂の浄化のプロセスと重なります。

『アエネーイス』からの具体的な影響としては、ウェルギリウスがダンテに煉獄山の頂上までの道を案内するという設定が挙げられます。これは、シビュラの巫女に導かれて冥界へ下るアエネアスの姿と重なるだけでなく、古典文学へのオマージュであると同時に、ダンテ自身の信仰の旅におけるウェルギリウスの役割、つまり理性の光によって信仰へと導く案内者としての役割を象徴していると言えます。

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