ダイシーの法と世論のメカニズム
ダイシーの法とは
イギリスの法学者、アルバート・ヴェン・ダイシー(1835-1922)によって提唱された理論です。これは、議会制定法の背景には、常に国民の意見や意識、すなわち「世論」が存在し、法律は世論を反映したものであるという考え方です。ダイシーは、議会が国民の代表機関であることから、制定される法律は必然的に国民の意見を反映したものになると主張しました。
世論と立法の関係
ダイシーによれば、世論は立法過程に以下の2つの段階を通じて影響を与えます。
1. **議会の構成**: 選挙を通じて、国民は自らの意見を代弁する代表者を選び、議会を構成します。つまり、世論は議会を構成する議員の選出に影響を与えることで、間接的に立法に影響を与えます。
2. **議員の活動**: 選出された議員は、国民の意見を踏まえ、議論を行い、法律を制定します。議員は、世論の動向を常に意識し、国民の支持を失わないように行動することが求められます。
ダイシーの法における世論の捉え方
ダイシーは、世論を「一定の問題について、一定の時間に、一定の人々が抱く意見」と定義しています。 彼は、世論が明確で、一定期間継続し、影響力を持つ集団によって支持されている場合にのみ、立法に影響を与えることができると考えていました。
ダイシーの法への批判
ダイシーの法は、理想的な議会制度を前提とした理論であり、現実の政治プロセスを十分に説明できないという批判があります。例えば、世論が必ずしも明確に存在するとは限らず、多様な意見が混在している場合もあります。また、強力なリーダーシップや政治資金力を持つ一部の集団が、世論を操作し、自分たちに有利なように立法を誘導する可能性も指摘されています。
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