## ダイシーの「法と世論の秘密」
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ダイシーの主張
イギリスの法学者、アルバート・ヴェン・ダイシーは、1905年に出版した著書「法と世論」の中で、法律は世論の影響を強く受けて変化するということを主張しました。彼は、法律の制定や改正、さらには司法判断においても、当時の社会における支配的な意見や道徳観が大きく影響を与えていると論じました。
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立法における世論の影響
ダイシーは、立法府における議員たちが、選挙で選ばれた代表者である以上、国民の意見を無視することはできないと指摘しました。議員たちは、再選を目指す過程で、世論の動向を敏感に察知し、自らの政策や投票行動に反映させようとします。そのため、法律は、特定の時代における支配的な世論や社会通念を反映したものとなる傾向があります。
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司法における世論の影響
ダイシーは、裁判官といえども、社会から隔絶された存在ではなく、当時の道徳観や価値観の影響を受けることを指摘しました。裁判官は、法律の条文を解釈する際に、社会通念や常識を考慮し、時代にそぐわない判決を避けると考えられています。そのため、時代とともに変化する世論は、司法判断にも間接的に影響を与えていると考えられます。
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世論と法の相互作用
ダイシーは、法と世論の関係は一方通行ではなく、相互に影響を与え合うものであると論じました。法律は、人々の行動を規制することで、社会規範を形成し、世論を特定の方向へ導く効果を持ちます。一方、世論が変化することで、時代にそぐわなくなった法律は改正されたり、新たな法律が制定されたりします。