## ソローの市民の不服従の対称性
対称性1：個人と国家
ソローの「市民の不服従」は、個人と国家という対称的な存在を軸に展開されます。ソローは、個人の良心と道徳を国家の権力や多数派の意見よりも重視すべきだと主張します。彼は、政府は個人の自由を最大限に尊重すべきであり、個人が不当だと考える法律には抵抗する権利があると述べています。
対称性2：正義と不正
ソローは、正義と不正の対称性にも着目しています。彼は、政府が必ずしも正義を代表しているわけではないと主張し、不正な法律や政策には抵抗する道徳的義務があると説きます。彼の有名な「不正義な法律にただ従うだけでなく、その改正のために努力するまで従うべきではない」という言葉は、この対称性を明確に示しています。
対称性3：行動と言語
ソローは、不正に対する抵抗には、言葉だけでなく行動が伴わなければならないと主張します。彼は、単に意見を表明するだけでは十分ではなく、具体的な行動によって自らの信念を示すことが重要だと訴けます。彼のメキシコ・アメリカ戦争への抗議としての納税拒否は、この行動と言語の対称性を具体的に示すものです。
対称性4：多数派と少数派
ソローは、民主主義社会においても、多数派の意見が常に正しいとは限らないと指摘します。彼は、少数派であっても、自らの良心にしたがって行動する権利があると主張します。彼の市民的不服従の概念は、多数派の意見に盲目的に従うのではなく、個人が自らの判断に基づいて行動することの重要性を強調しています。
これらの対称性は、「市民の不服従」全体を通して見られるわけではなく、文脈によっては強調されたり、弱められたりする点に注意が必要です。 しかし、これらの対称性を意識することで、ソローの思想をより深く理解することができます。