ソフォクレスのオイディプス王の関連著作
アリストテレス「詩学」
古代ギリシアの哲学者アリストテレスが著した、西洋最古の演劇論です。アリストテレスは本作で悲劇を「真似る」（ミメーシス）行為として捉え、「筋」「性格」「思想」「言語」「視覚的効果」「音楽」の6要素から分析しました。
中でも「筋」を最も重要視し、優れた悲劇は「筋」において「必然性」と「意外性」を兼ね備え、「認識」と「転換」をもたらす「複雑な構成」を有するとしました。
アリストテレスは「オイディプス王」を悲劇の範例として挙げ、「複雑な構成」「認識」「転換」といった要素が最もよく実現されていると高く評価しました。主人公オイディプスの「運命を知らずに運命へと突き進んでいく」という皮肉な構造は、観客に恐怖と憐憫を抱かせ、カタルシス（感情の浄化）を引き起こすとされます。
ジークムント・フロイト「夢判断」
精神分析学者ジークムント・フロイトの主著であり、精神分析学の基礎を築いたとされる書です。フロイトは、人間の無意識に抑圧された欲望が夢に象徴的に表現されると考えました。
フロイトは「オイディプス王」を、人間の普遍的な心理構造である「エディプス・コンプレックス」の象徴として解釈しました。エディプス・コンプレックスとは、幼児期に異性の親に対して性的愛着を抱き、同性の親に対して嫉妬や敵意を抱くという心理状態を指します。
フロイトは、オイディプスが無意識のうちに父を殺害し母と結婚するという物語は、男性が幼年期に経験するエディプス・コンプレックスを象徴的に表していると解釈しました。
クロード・レヴィ=ストロース「構造人類学」
フランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロースは、神話や儀礼といった文化現象を、人間の思考における普遍的な構造を反映したものと考えました。
レヴィ=ストロースは「オイディプス王」を、古代ギリシャ社会における「自然と文化」の対立を象徴する物語として解釈しました。オイディプスは、スフィンクスの謎を解くことで「文化」を象徴し、父を殺害し母と結婚することで「自然」を象徴する存在となります。
レヴィ=ストロースは、この物語は、文化によって自然を克服しようとしながらも、最終的には自然に回帰していくという人間の宿命を描いていると解釈しました。