## ソフォクレスのアンティゴネの発想
古代ギリシャの価値観における対立
「アンティゴネ」は、紀元前441年にソフォクレスによって書かれたギリシャ悲劇です。この作品は、古代ギリシャ社会において非常に重要な二つの価値観の対立を描いています。
1. ポリスの法 vs. 神の法
劇中で、クレオン王は、反逆者として扱われるポリュネイケースの埋葬を禁じる布告を出します。これは、ポリスの秩序と安全を守るための政治的な判断として描かれます。一方、アンティゴネは、たとえそれが王の命令に背くことになっても、神によって定められた死者への埋葬の義務を果たすべきだと考えます。彼女は、神の法こそが人間の法よりも上位にあり、破ることはできない絶対的なものであると主張します。
2. 男性 vs. 女性
「アンティゴネ」は、男性中心社会であった古代ギリシャにおいて、女性の立場や役割についても問いかけています。クレオンは、支配者、男性、そして理性の象徴として描かれています。一方、アンティゴネは、女性、家族、そして感情の象徴として描かれます。アンティゴネの行動は、当時の社会規範から逸脱したものであり、女性の従順さや男性への服従という伝統的な価値観に挑戦状を叩きつけるものでした。
これらの対立軸を通して、ソフォクレスは観客に、法と道徳、個人と国家、そして男性と女性の在り方について、深く考えさせるのです。