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ソシュールの一般言語学講義の構成

## ソシュールの一般言語学講義の構成

第一部 言語と記号学

第一部は、「言語論」の対象である言語を、より広い概念である「記号」の体系である記号学との関係において位置づけることから始まります。

第一章「言語学の対象」では、言語の定義を試みるのではなく、言語活動という複雑な全体の中から、言語学の研究対象として切り出す部分を明確化しようとします。ソシュールは、言語を「記号の体系」と捉え、言語記号の恣意性、線状性、可変性・不変性といった特徴を指摘し、言語学の研究対象は、歴史を超えて不変的な言語記号の体系である「ラング」であると規定します。

第二章「記号学、言語学」では、言語を記号の体系として捉える立場から、言語学をより広範な学問である記号学の一部門として位置づけます。ソシュールは、言語記号の恣意性と社会性を強調し、言語を社会的な慣習によって成立する記号体系であると捉えます。

第二部 共時的言語学

第二部では、共時的な視点、つまり特定の時点における言語体系の構造を分析することを中心に論じられます。

第三章「対象の区分。言語活動、言語、音声」では、言語活動という複雑な全体を、言語、音声、話しことばという三つの側面から分析します。その上で、言語学の主要な研究対象は、個人を超えた社会的な規範である言語であることを改めて強調します。

第四章「言語」では、言語の二つの側面である「ラング」と「パロール」を区別します。ラングは、特定の言語を話す共同体全体に共有される抽象的な言語体系であり、パロールは、個々の話者が具体的な場面でラングを用いて行う個別具体的な言語活動です。ソシュールは、言語学の研究対象は、パロールではなくラングであると主張します。

第五章「価値」では、言語記号の意味は、他の記号との差異によって決定されるという「価値」の概念を導入します。つまり、言語記号は、それ自体が独立した意味を持つのではなく、他の記号との関係においてのみ意味を持つとされます。

第三部 通時的言語学

第三部は、通時的言語学、つまり時間軸に沿って言語の変遷を扱うことが主題となります。

第六章「通時的言語学」では、共時的言語学が特定の時点における言語体系の研究であるのに対し、通時的言語学は、時間の経過に伴う言語の変化を研究するものであると説明します。言語の変化は、ランダムに起こるのではなく、一定の法則性に基づいて生じるとされます。

第七章「通時的言語学の継続」では、音声変化、文法変化、意味変化など、具体的な言語変化の事例を挙げながら、通時的言語学における主要なテーマについて解説します。また、言語の変化は、言語体系全体の均衡を保とうとする力によって規制されていることを指摘します。

付録 アナグラムに関するソシュールのノート

この付録は、ソシュールの死後、彼の遺稿の中から発見された、古代詩におけるアナグラム(語句の文字を並べ替えて別の語句を作る言葉遊び)に関する研究ノートです。ソシュールは、無意識的なレベルにおいても、言語活動が影響を与えている可能性を示唆しています。

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