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ソシュールの一般言語学講義に匹敵する本

ソシュールの一般言語学講義に匹敵する本

ノーム・チョムスキーの「統辞構造論」

1957年に出版されたノーム・チョムスキーの「統辞構造論」は、20世紀の言語学、そして心理学、哲学、認知科学といった隣接分野にも大きな影響を与えた革命的な著作です。チョムスキーは本書で、それまでの行動主義的な言語観を批判し、人間には生得的に言語を獲得する能力(言語獲得装置)が備わっているという「生成文法」の理論を提唱しました。

「統辞構造論」は、具体的な言語データの分析ではなく、人間の心の働きである言語能力そのものを探求するという点で、それまでの言語学の枠組みを大きく転換するものでした。チョムスキーは、表層的な文の構造だけでなく、その背後にある抽象的な構造(深層構造)を明らかにすることで、人間の思考や心の働きを解明できると考えました。

「統辞構造論」は、言語学という学問分野を超えて、人間の心の働きや意識の起源といった根源的な問題に迫るものであり、現代思想にも多大な影響を与えています。また、コンピュータ科学における自然言語処理の発展にも大きく貢献しました。

フェルディナン・ド・ソシュールの「一般言語学講義」

ソシュールの「一般言語学講義」は、20世紀初頭の言語学に革命をもたらした金字塔的な著作です。ソシュールは本書で、言語を「記号の体系」と捉え、記号とその意味との関係が恣意的であることを明らかにしました。また、言語を共時的(同時的な)視点と通時的(歴史的な)視点から分析することの重要性を説き、言語学の新たな方法論を提示しました。

「一般言語学講義」は、ソシュールの講義録を元に弟子たちが編集したものであり、必ずしも体系的な著作ではありません。しかし、言語という複雑な現象を、記号論という新たな視点から捉え直した点で、その後の言語学、そして記号論、構造主義、ポスト構造主義といった思想潮流に計り知れない影響を与えました。

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