ソシュールの一般言語学講義からの学び
言語学の対象
ソシュールは、言語学の真の対象は言語そのものであり、個々の発話行為ではないと主張しました。彼によれば、言語は社会的な慣習であり、個々の話者の意識の外に存在する体系です。この体系は、記号の集合体として捉えられ、各記号は特定の意味内容と結びついています。
ラングとパロール
ソシュールは、言語を「ラング」と「パロール」の二つの側面から捉えました。「ラング」は、社会全体で共有される言語体系であり、個々の話者の外に存在する不変的なものです。一方、「パロール」は、個々の話者が実際に行う発話行為であり、可変的で一時的なものです。ソシュールは、言語学が扱うべきなのは「パロール」ではなく「ラング」であると強調しました。
記号の恣意性
ソシュールは、言語記号とその意味内容の結びつきは恣意的であると主張しました。例えば、「犬」という記号と、四本足の動物である犬という概念との間には、必然的な関係はありません。この結びつきは、社会的な合意によって成り立っているに過ぎません。
記号の価値
ソシュールは、言語記号の意味は、他の記号との差異によって決定されると考えました。例えば、「犬」の意味は、「猫」や「鳥」といった他の動物を表す記号との対比によって成り立っています。彼はこれを「記号の価値」と呼びました。
共時態と通時態
ソシュールは、言語を研究する上で、二つの異なる視点が必要であると主張しました。一つは「共時態」の視点であり、これは特定の時点における言語体系を記述するものです。もう一つは「通時態」の視点であり、これは時間の経過に伴う言語の変化を追跡するものです。ソシュールは、これらの二つの視点を明確に区別することが重要であると強調しました。