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スミススの道徳感情論に匹敵する本

## スミススの道徳感情論に匹敵する本

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アリストテレス『ニコマコス倫理学』

古代ギリシャの哲学者アリストテレスが記した倫理学書。人間の幸福(エウダイモニア)を究極目的とし、その実現のために必要な徳(アレテー)について論じている。理性に基づいた知性的徳と、習慣によって培われる倫理的徳の両方が重要だと説き、徳とは理性に従って行動する習慣であると定義する。

人間の行為はすべて何らかの目的のために行われるとし、最終的な目的は幸福であるとする目的論的倫理観を展開する。幸福とは、人間の魂の固有の機能である理性に従って生きることであり、徳を備え、理性的に行動することで実現されるとする。

『ニコマコス倫理学』は、西洋倫理学の古典として、現代に至るまで多大な影響を与え続けている。特に、徳倫理学の先駆的な書として、その後の倫理思想の発展に大きく貢献した。

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イマヌエル・カント『道徳形而上学』

18世紀のドイツの哲学者イマヌエル・カントの主著の一つ。人間の理性に基づき、普遍的かつ絶対的な道徳法則を導き出そうとした。人間の意志が道徳的に善であるためには、結果ではなく、その行為の背後にある「意志の格率」が重要であると主張する。

「汝の意志の格率が、つねに同時に、普遍的な立法の原理となりうるような仕方で行動せよ」という「定言命法」を提唱し、道徳法則を理性によって認識できるとする。また、人間を目的そのものとして扱うことを道徳の基礎に据え、「汝の格率の法則が、つねに、人類とあなたの個人的な人における人間性を同時に目的として扱い、決して単に手段として扱わないようにせよ」という定式も提示している。

『道徳形而上学』は、義務論的倫理学の代表的な著作であり、その厳格な道徳律と理性中心主義は、後の倫理思想に大きな影響を与えた。

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ジョン・ロールズ『正義論』

20世紀アメリカの哲学者ジョン・ロールズが1971年に発表した政治哲学の著作。社会における正義の原理を、人々が「無知のヴェール」の下で、自らの立場や能力などの具体的な状況を知らない「原初状態」において合意するであろう原則として捉える。

ロールズは、原初状態において人々は、①各人が可能な限り広範な基本的自由を平等に持つこと、②社会的不平等は、最も不遇な立場の人々にとっても最も利益が大きいような仕方で配分されなければならないという二つの正義の原理を選択すると主張する。

『正義論』は、現代における社会契約論の金字塔とされ、政治哲学のみならず、経済学、社会学、法学など幅広い分野に影響を与えている。特に、格差社会や社会福祉の議論において重要な視点を提供している。

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