## スチュアートの政治経済学の諸原理の対極
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マルクスの資本論
ジョン・スチュアート・ミルの『経済学原理』は、古典派経済学を集大成し、自由放任主義を擁護したことで知られます。一方、カール・マルクスの『資本論』は、資本主義経済を徹底的に批判し、社会主義革命を提唱した点で、ミルの思想と真っ向から対立しています。
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両者の対立点
ミルの『経済学原理』とマルクスの『資本論』は、経済現象に対する分析方法、労働価値論の解釈、資本主義社会の評価など、様々な点で対照的な主張を展開しています。
#### 経済現象に対する分析方法
ミルは、個人主義的方法論に基づき、経済現象を個人の合理的な行動の結果として説明しようとしました。これに対し、マルクスは、唯物史観の立場から、経済現象を生産関係という社会構造によって規定されると考えました。
#### 労働価値論の解釈
ミルは、価値の源泉を労働に見出すという点では、アダム・スミスやダヴィッド・リカードなどの古典派経済学者と共通していました。しかし、ミルは、需要と供給の関係も価値に影響を与えると考え、労働価値説を修正しました。一方、マルクスは、リカードの労働価値説を継承し、資本家の利潤は労働者の搾取によって生み出されると主張しました。
#### 資本主義社会の評価
ミルは、資本主義社会を肯定的に評価し、自由競争や私有財産制を擁護しました。ただし、貧富の格差の拡大などの社会問題に対しては、政府による介入の必要性を認めました。一方、マルクスは、資本主義社会を労働者階級に対する搾取の体制と見なし、その必然的な崩壊と社会主義社会への移行を予言しました。
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結論
ミルの『経済学原理』とマルクスの『資本論』は、19世紀の経済思想を代表する古典であり、現代の経済学や政治思想にも大きな影響を与え続けています。