スタインベックの怒りの葡萄の構成
章の構成
本書は、 intercalary chapters と呼ばれる短い章が、物語の中心となるジョad家の旅路を描いた章と交互に登場する構成となっています。全30章のうち、奇数章がジョad家の物語、偶数章が intercalary chapters です。
intercalary chaptersの内容と役割
intercalary chapters は特定の登場人物や筋に直接的に関わるものではなく、当時の社会状況や時代背景、移住労働者全体の苦悩や怒りなどを、より広い視点から描いています。 これらの章は、特定のプロットを進めるのではなく:
* ジョad家の置かれた状況をより大きな社会的文脈の中に位置づける
* 小説のテーマを深化させる
* 象徴的なイメージや寓意を用いることで、物語に深みを与える
といった役割を担っています。
ジョad家の物語
奇数章で語られるジョad家の物語は、オクラホマ州を追われ、カリフォルニアを目指す彼らの過酷な旅路と、そこで直面する現実を描いています。
* 出発当初は希望を抱いていた一家が、旅の途中で様々な困難に直面し、徐々に希望を失っていく様子
* カリフォルニアで約束の地ならぬ現実を突きつけられ、搾取や貧困に苦しむ様子
これらの描写を通して、当時のアメリカ社会が抱えていた問題や、人間の尊厳、そして連帯の重要性といったテーマが浮かび上がってきます。