Skip to content Skip to footer

ジスモンディの「政治経済学新原理」の普遍性

## ジスモンディの「政治経済学新原理」の普遍性

ジスモンディの批判の矛先

ジャン・シャルル・レオナール・シモンド・ド・シスモンディは、1819年に出版した著書『政治経済学新原理、または富はいかにして国民に幸福をもたらすか』において、当時の支配的な経済学説であった古典派経済学、特にアダム・スミスやジェームズ・ミル、デヴィッド・リカードらの考え方に鋭く異議を唱えました。

シスモンディは、古典派経済学が唱える自由放任主義的な経済政策が、富の偏在と貧困の拡大を生み出し、社会に深刻な矛盾をもたらすと批判しました。彼は、政府が経済に介入し、富の分配を調整することによってのみ、真の国民の幸福を実現できると主張しました。

「新原理」における普遍的な視点

シスモンディの「新原理」は、単なる古典派経済学への批判にとどまらず、より普遍的な視点を含んでいます。彼の主張は、特定の時代や社会状況を超えて、以下の点において現代社会にも通じる普遍性を持ちます。

* **富の増加と幸福の関係への疑問:** シスモンディは、古典派経済学が前提とする「富の増加=国民の幸福」という図式に疑問を呈しました。彼は、富の偏りが進み、多くの人々が貧困に苦しむ社会では、経済成長が必ずしも幸福につながらないと主張しました。この視点は、現代社会における経済格差の問題や、GDPなどの経済指標では測れないwell-beingの概念に通じるものがあります。
* **過剰生産と経済危機への警告:** シスモンディは、自由競争の下では、生産者の利益追求が過剰生産を引き起こし、経済危機を招くと警告しました。これは、1929年の世界恐慌や2008年のリーマンショックなど、資本主義経済における周期的な危機を予見するものであり、現代社会においても重要な視点です。
* **国家による経済介入の必要性:** シスモンディは、自由放任主義的な政策を放棄し、国家が積極的に経済に介入して、労働条件の改善、社会保障制度の充実、富の再分配などを実施する必要性を訴えました。現代においても、格差の是正や社会福祉の充実のために、政府の役割が重要視されています。

「新原理」の現代社会への示唆

シスモンディの「新原理」は、現代社会が抱える様々な問題に対する重要な示唆を与えてくれます。彼の思想は、経済成長至上主義への警鐘となり、真の豊かさとは何か、持続可能な社会とは何かを問いかけるものです。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5