ジェイムズのプラグマティズムの位置づけ
プラグマティズム運動におけるジェイムズ
ウィリアム・ジェイムズは、チャールズ・サンダース・パース、ジョン・デューイらとともに、プラグマティズムを代表する哲学者の一人として挙げられます。ジェイムズは、パースが1870年代に提唱したプラグマティズムの考え方を発展させ、1907年に出版した『プラグマティズム』の中で、自身の思想として体系化しました。パースのプラグマティズムが記号論や論理学を中心としたものであったのに対し、ジェイムズのプラグマティズムは、人間の経験や心理、宗教といったより人間的な側面に焦点を当てたものでした。
ジェイムズのプラグマティズム: 主要な概念
ジェイムズのプラグマティズムを特徴づける主要な概念は以下の点が挙げられます。
* **「真理の有用性」**: ジェイムズは、真理を静的なものではなく、人間の経験を通して絶えず変化し、発展していく動的なものと捉えました。そして、ある考え方が「真である」ということは、それが私たちの生活の中で「有用である」ことを意味するとしました。
* **「ラディカル経験主義」**: ジェイムズは、意識や経験を世界の構成要素として重視する「経験主義」の立場をさらに推し進め、「ラディカル経験主義」を主張しました。これは、意識と対象を二元論的に分けるのではなく、両者が未分化な「純粋経験」の流れの中で相互に関係しあっていると考える立場です。
* **「意志の自由」**: ジェイムズは、人間の意志は決定論的に規定されたものではなく、自由な選択が可能であると考えました。彼は、たとえ世界が決定論的に決まっているとしても、私たちはどの信念を採用するかを自由に選択することができると主張しました。
ジェイムズのプラグマティズムの影響
ジェイムズのプラグマティズムは、その後の哲学、心理学、教育学、宗教論など幅広い分野に大きな影響を与えました。特に、デューイの経験主義に基づく教育理論や、宗教経験を重視する宗教哲学などに、その影響を見ることができます。
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