シラーの群盗の対極
ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター修業時代」における調和と自己実現
フリードリヒ・シラーの戯曲「群盗」は、社会への反抗、自由への渇望、そして既存の秩序に対する激しい反逆を描いています。主人公カール・モーアは、不正と腐敗に満ちた社会に絶望し、暴力と略奪によって正義を貫こうとする盗賊団の首領となります。
一方、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの教養小説「ヴィルヘルム・マイスター修業時代」は、「群盗」とは対照的に、調和と自己実現の道を歩む主人公を描いています。ヴィルヘルムは、情熱と理想に燃える青年時代を経て、現実社会の中で自己の才能と役割を認識し、社会への貢献を通じて真の幸福を見出していきます。
「群盗」が感情の激しさと革命的なエネルギーを特徴とするならば、「ヴィルヘルム・マイスター修業時代」は、理性と自己鍛錬、そして社会への統合を重視する作品と言えます。