## シュミットの政治的なものの概念の評価
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友と敵の区別
シュミットは、政治的なものを非政治的なものから区別する基準として、「友と敵の区別」を提唱しました。彼によれば、政治的な行動の根底には、常に「自己と他者」という区別が存在し、その極限形が「友と敵」の関係となります。政治的な団体は、自らの生存のために、敵対する他者から自己を区別し、場合によっては実力行使をもって対抗する必要があるとシュミットは主張しました。
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批判
シュミットの「友と敵の区別」は、政治現象の本質を鋭く捉えているという評価がある一方、その排他的な側面に対する批判も少なくありません。例えば、シュミットの理論は、政治における対話や妥協の可能性を軽視し、敵対関係の激化を正当化する危険性を孕んでいるという指摘があります。また、現実の政治においては、「友と敵」の境界線が常に明確であるとは限らず、むしろ曖昧で流動的な場合が多いという反論も存在します.
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現代社会における意義
冷戦終結後、国際政治は新たな局面を迎え、「友と敵」の区別が困難な状況が増加しています。しかし、テロリズムや国家間対立の激化など、シュミットの理論を彷彿とさせる現象も散見されます. 現代社会において、シュミットの政治的なものの概念は、その限界を踏まえつつも、政治における対立や暴力の潜在的な危険性を改めて認識させるための重要な視点を提供していると言えるかもしれません。