シュミットの憲法理論のテクスト
政治的なものの概念
カール・シュミットは、20世紀の最も影響力のある政治思想家の一人であり、その著作は憲法理論、国際関係、政治神学など、幅広いテーマを扱っています。彼の最もよく知られた著作の一つである『憲法論』（1928年）は、ワイマール共和国における憲法の危機を背景に、法的秩序と政治的秩序の関係について考察したものです。
憲法制定権と構成権力
シュミットの憲法理論の中心には、「政治的なもの」の概念があります。彼にとって、「政治的なもの」の本質は、友と敵の区別にあります。政治的な行動は、究極的には、集団の存在を脅かす敵からの集団の防衛に向けられています。この見解から、シュミットは、リベラリズムや議会制民主主義といった、政治を経済的または技術的な問題に還元しようとする試みを批判しました。シュミットは、これらのイデオロギーは、「政治的なもの」の現実、すなわち、敵対と決定の必要性を無視していると主張しました。
ワイマール憲法の批判
シュミットは、「政治的なもの」の概念に基づき、憲法の役割を考察しました。彼にとって、憲法は単なる法的文書ではなく、政治的な秩序の基礎となるものです。憲法は、政治的な単位を定義し、その基本的価値観を明文化し、敵から身を守るための制度を確立する役割を担います。シュミットは、真の意味での憲法は、政治的な決定に基づいていなければならず、単なる法的形式主義であってはならないと主張しました。
立憲主義と民主主義の対立
シュミットは、ワイマール憲法を、法的形式主義と政治的現実の無理解の産物として批判しました。彼は、ワイマール憲法は、政治的な決定を回避し、あらゆる問題を法的紛争として処理しようとすることで、政治的な意思決定を麻痺させ、最終的にはナチスの台頭を招いたと主張しました。
例外状態と主権
シュミットの憲法理論における最も物議を醸す側面の一つは、「例外状態」の概念です。彼は、すべての法的秩序は、例外的な状況においては停止されなければならないと主張しました。このような状況では、主権者は、法的拘束から解放され、政治的な単位を守るために必要なあらゆる手段を講じなければなりません。シュミットにとって、主権者は、「例外状態」を決定し、法律の効力を停止する権限を持つ者です。