## シュペングラーの西洋の没落の構成
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第一部 形態と現実
第一部は、シュペングラーの歴史観の基礎となる理論的な枠組みを提供する部分です。彼は、伝統的な線的な歴史観を否定し、代わりに独自の文化形態史観を提示します。
第一章「数学と歴史」では、数学を例にとり、文化もまた、発生、成長、衰退、死という生物と同様の周期的な発展段階を持つことを主張します。
第二章「数の意味するもの」では、各文化に固有の「原象徴」という概念を導入し、それが文化のあらゆる側面を規定すると説きます。
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第二部 世界史の形態学への試み
第二部は、第一部で提示された理論に基づき、具体的な歴史分析を行います。シュペングラーは、世界史上に現れた8つの高度文化(エジプト、インド、バビロニア、中国、ギリシャ・ローマ、アラビア、西洋、メキシコ)を比較検討し、それぞれの文化が独自の「原象徴」に基づいて発展し、衰退していく過程を詳細に記述します。
特に、西洋文化については、古代ギリシャ・ローマ文化を「アポロン的」文化、西洋文化を「ファウスト的」文化と規定し、その特徴や運命を対比的に分析しています。
全体の構成としては、第一部で理論的な基盤を築き、第二部で具体的な歴史分析を行うという流れになっています。そして、シュペングラーは、西洋文化もまた、他の文化と同様に、避けられない衰退の道を歩んでいると結論づけています。
ただし、本書は難解な文章で知られており、解釈の難しい箇所も多く含まれています。