## シュペングラーの西洋の没落とアートとの関係
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文化の周期とアートの運命
シュペングラーは、「西洋の没落」の中で、歴史は線形的な進歩ではなく、独自の「文化」という生命体のようなものが、誕生、成長、衰退、死という周期を繰り返すと主張しました。各文化は、それぞれ独自の「魂」を持ち、それが芸術、建築、音楽、哲学などのあらゆる文化活動に現れると考えました。
シュペングラーによれば、文化の初期段階である「春と夏」の時代には、生命力に溢れ、芸術は力強く、形而上学的な傾向を示します。この時代のアートは、世界に対する畏敬の念や、宇宙との一体感を表現し、象徴性や様式性に富んでいます。
しかし、文化が成熟し、「秋と冬」の時代に入ると、生命力は衰え、芸術は形式化し、装飾的になっていくとシュペングラーは考えました。物質主義や合理主義が台頭し、芸術は内面的な表現ではなく、技術的な技巧や表面的な美しさに重点が置かれるようになります。
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西洋文化における「秋の時代」とアート
シュペングラーは、自身が生きていた20世紀初頭の西洋文明を「秋の時代」と位置づけ、没落に向かう段階にあると主張しました。彼は、西洋美術がルネサンスを頂点として、その後は衰退の一途をたどっていると見なしました。
シュペングラーは、印象派や表現主義といった近代芸術を、西洋文化の没落の兆候と捉えました。彼は、これらの芸術運動を、伝統的な形式や美意識からの逸脱と見なし、内面的な深みや精神性を欠いた、感覚的な刺激や主観的な表現に過ぎないと批判しました。
シュペングラーは、西洋文化が没落に向かう中で、芸術はもはや真の創造性を生み出すことができず、過去の様式を模倣したり、技術的な技巧を誇示するだけの「文明化された野蛮性」に陥ると予測しました。