## シャノンの通信の数学的理論に匹敵する本
アラン・チューリングの「計算可能数について：決定問題への応用」
1936年に発表されたこの論文は、現代のコンピュータ科学の基礎を築いたと言えます。チューリングは、この論文の中で、後にチューリングマシンと呼ばれることになる仮想的な計算機の概念を提唱しました。
チューリングマシンは、どんなアルゴリズムも実行できる能力を持つ、単純化された理論上の計算モデルです。チューリングは、このマシンを使って「決定問題」と呼ばれる数学の問題を考察し、停止性問題と呼ばれる問題を解くことができないことを証明しました。
この論文は、計算の限界に関する重要な洞察を提供するだけでなく、計算機科学の発展に大きな影響を与えました。現代のコンピュータの設計は、チューリングマシンの概念に基づいており、チューリングの業績は、人工知能や理論計算機科学など、様々な分野に影響を与え続けています。
クロード・シャノンの「通信の数学的理論」
1948年に発表されたこの論文は、情報を定量化する方法を提供し、現代の情報理論の基礎を築きました。シャノンは、この論文の中で、エントロピーという概念を使って情報の量を測定する方法を提案しました。
また、通信路の容量という概念を導入し、ノイズの多い通信路でも、一定の速度で情報を確実に伝送できることを示しました。シャノンの理論は、データ圧縮、誤り訂正符号、暗号化など、現代の通信技術の多くの分野で応用されています。
ドナルド・クヌースの「The Art of Computer Programming」
1968年から刊行が始まったこの書籍は、コンピュータ科学の百科事典とも呼ばれ、アルゴリズムとデータ構造に関する網羅的な解説を提供しています。
クヌースは、アルゴリズムの設計と解析に数学的な厳密さを導入し、計算量の概念を使ってアルゴリズムの効率性を評価する方法を確立しました。この書籍は、コンピュータ科学者やプログラマーにとって必携の書とされており、その後のアルゴリズムとデータ構造に関する研究に多大な影響を与えました。