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シジウィックの倫理学の方法の原点

シジウィックの倫理学の方法の原点

イギリス経験論との関係

シジウィックの倫理学は、イギリス経験論、特にジョン・スチュアート・ミルの功利主義の影響を強く受けています。経験論は、知識の源泉は経験であると主張し、先験的な形而上学や理性に基づく倫理を否定します。シジウィックもまた、倫理的な原則は経験的な観察と分析から導き出されるべきだと考えました。彼は、人間の心理や道徳感情を注意深く観察し、そこから共通の道徳的な信念を抽出することを試みました。

直観主義との関係

シジウィックは、経験論の一方で、人間の道徳的判断には、経験だけでは説明できない直観的な要素も含まれていることを認識していました。彼は、道徳的な第一原理は、経験から証明することはできないものの、自己 evident な真実として直観的に把握されると考えました。この点で、シジウィックの倫理学は、道徳的な真理を理性によって認識できるとする直観主義とも関連しています。

方法論的懐疑主義

シジウィックは、倫理学においても厳密な方法論と批判的な分析が不可欠であると強調しました。彼は、当時の倫理学における様々な学説や議論を検討し、その矛盾や不十分な点を指摘しました。彼の著作には、功利主義、直観主義、道徳感覚学派など、さまざまな倫理思想に対する鋭い批判が含まれています。シジウィック自身は、特定の倫理学説に固執することなく、様々な立場を公平に検討し、その妥当性を吟味する態度を貫きました。

道徳哲学の体系化

シジウィックは、倫理学を体系的な学問として確立しようとする試みにおいて、従来の倫理思想を批判的に検討しながら、経験論と直観主義の要素を統合しようとしました。彼は、道徳哲学を、(1)倫理学の方法論、(2)道徳心理学、(3)倫理学説、(4)応用倫理学の四つの部門に分け、それぞれを詳細に分析しました。彼の主著である『倫理学の方法』は、この体系的な倫理学の構築を目指したものであり、後の倫理学研究に大きな影響を与えました。

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