## シェイクスピアのロミオとジュリエットから学ぶ時代性
愛と結婚
ロミオとジュリエットで描かれる愛と結婚に対する考え方は、当時の時代性を色濃く反映しています。まず、ジュリエットは14歳という、現代から見ると非常に幼い年齢で結婚を迫られています。これは当時の貴族社会では一般的な慣習であり、家同士の繋がりや財産継承などを目的として、若いうちから結婚が決まることが珍しくありませんでした。恋愛結婚はむしろ例外的であり、ジュリエットの母親も彼女に対して「愛は結婚してから育てればいい」といった趣旨の発言をしています。
しかし、ロミオとジュリエットは、親が決めた相手ではなく、自らの意志で相手を選び、激しい情熱的な愛に突き動かされます。この点は、当時の結婚観に対するアンチテーゼとして捉えることもできるでしょう。彼らの恋愛は、家父長制や社会的なしきたりに縛られた当時の若者の、自由な愛への渇望を象徴しているかのようです。
家父長制と女性の立場
エリザベス朝時代のイングランドは家父長制社会であり、男性が女性よりも優位な立場にありました。劇中でも、ジュリエットは父親が決めた相手と結婚することを強いられ、自分の意志を尊重してもらえません。また、ジュリエットの乳母は、彼女に対して献身的に尽くしますが、あくまで「主人に仕える」という立場であり、当時の社会における主従関係を反映しています。
ジュリエットは、こうした抑圧的な状況に反発し、自分の気持ちに正直に生きようとします。彼女の言動は、当時の女性の立場に対する疑問を投げかけているようにも見えます。ロミオとジュリエットの悲劇は、男性中心の社会構造の中で、女性がいかに自由を制限されていたかを浮き彫りにしています。
抗争と和解
モンタギュー家とキャピュレット家の抗争は、当時の社会における対立構造を象徴しています。劇中で明確な原因は語られていませんが、両家の確執は根深く、憎しみは世代を超えて受け継がれています。この対立は、当時のイングランドで実際に起こっていた宗教対立や政治対立を想起させます。
ロミオとジュリエットの死は、両家の憎しみの愚かしさを浮き彫りにし、最終的に和解へと導きます。二人の死はあまりにも大きな犠牲でしたが、その悲劇を通して、対話と理解の重要性が示唆されています。これは、対立と混乱が絶えなかった当時の社会に対する、シェイクスピアからのメッセージとも解釈できるかもしれません。