## シェイクスピアのリチャード三世の表象
リチャード三世の身体的特徴
劇中で、リチャードは自身の外見を「不具で、未熟な状態でこの世界に送り込まれ」、「半分しか作られておらず」、 「時期尚早に母の胎内から引きずり出された」と表現しています。彼は自身の背骨が曲がっていること、片方の肩がもう片方よりも低いこと、そして歩く際に足を引きずっていることを嘆きます。この自己嫌悪的な描写は、リチャードの外見が彼の邪悪な本性の表れであることを示唆しており、当時の観客に一般的な認識でした。
リチャード三世の言語と自己認識
リチャードは雄弁で機知に富んでおり、しばしば言葉巧みに人を操ります。彼は自身の悪行を認めながらも、それを魅力的に、時にはユーモラスに表現することで、観客を共犯者に引き込みます。彼は自身の悪事を認識しており、「悪役を演じる」ことを宣言することさえあります。この自己認識は、劇の複雑さを増し、観客にリチャードの行動の動機について疑問を抱かせます。
リチャード三世と自由意志のテーマ
リチャードは運命と自由意志の関係について繰り返し言及します。彼は自身を「運命のスポーツ」と呼び、自らの行動はあらかじめ定められたものであることを示唆します。しかし同時に、彼は自分の目標を達成するために策略を練り、操作し、冷酷な行動を取ることによって、自由意志を行使しているようにも見えます。この矛盾は、劇における重要なテーマであり、観客はリチャードの行動がどの程度運命によって決定づけられ、どの程度彼自身の選択によるものなのかを考えるようになります。
リチャード三世の政治的な人物像
リチャードは狡猾で容赦のない政治家として描かれています。彼は権力を渇望し、それを手に入れるためにはどんな手段も厭いません。彼は巧みな嘘と策略を用いて敵を出し抜き、王位への道を切り開きます。リチャードの政治的な策略は、権力、野心、そして人間性の暗い側面を探求する劇の枠組みを提供します。