シェイクスピアのリチャード三世の対極
トーマス・モアによる「リチャード三世伝」
トーマス・モアによる「リチャード三世伝」は、シェイクスピアの戯曲とは対照的に、リチャード三世をより好意的に描いた作品として知られています。モアはリチャード三世の治世に仕えた人物であり、彼の作品は個人的な経験に基づいたものとされています。
モアの作品では、リチャード三世は知性と決断力に優れた人物として描かれており、彼の政治的手腕は高く評価されています。また、モアはリチャード三世の身体的な欠陥についても、シェイクスピアの作品ほど強調していません。
しかし、モアの作品は客観的な歴史書というよりは、むしろ文学作品としての側面が強いという指摘もあります。モアはリチャード三世を英雄的に描くために、事実を誇張したり、都合の良いように解釈したりしている可能性も否定できません。
シェイクスピアの戯曲とモアの伝記は、どちらもリチャード三世という歴史上の人物を題材にしていますが、その解釈や描写は大きく異なります。どちらの作品も、書かれた時代の政治的な背景や作者の意図を反映したものであり、歴史的な真実を完全に明らかにするものではありません。