## シェイクスピアのリア王の構成
1.五大幕構成
「リア王」はシェイクスピアの他の多くの戯曲と同様に、**五大幕構成**を採用しています。これは、以下の5つの段階を経て物語が展開する構成です。
* ** exposition(導入)**: 登場人物や背景、物語の始まりが提示されます。リア王では、リア王が自分の王国を娘たちに分割することを宣言する場面から始まります。
* **rising action(上昇展開)**: 登場人物たちの対立や葛藤が次第に高まり、物語が大きく動き始めます。リア王では、リア王が娘たちに裏切られ、狂気に陥っていく過程が描かれます。
* ** climax(クライマックス)**: 物語の盛り上がりと緊張感が最高潮に達する場面です。リア王では、嵐の夜に荒野をさまようリア王の姿が描かれる場面がクライマックスと言えます。
* **falling action(下降展開)**: クライマックスを経て、物語は終結に向けて収束していく段階です。リア王では、リア王の死や、エドガーとエドマンドの決闘などが描かれます。
* ** resolution(結末)**: 物語のすべての問題が解決し、終結を迎えます。リア王では、生き残った登場人物たちが王国に秩序を取り戻そうとする場面で幕を閉じます。
2.複線構造
「リア王」は、リア王とその家族の物語と、グロスター伯爵とその息子たちの物語という**二つの筋書きが平行して展開される複線構造**を持っています。
リア王の物語は、王の権力と家族の愛、真実と虚偽が主要なテーマとなっています。一方、グロスター伯爵の物語は、親子間の信頼と裏切り、嫡出と庶出の対比が描かれています。
この二つの物語は、登場人物たちの関係性や共通のテーマを通して密接に結びついており、互いに影響を与え合いながら悲劇的な結末へと進んでいきます。
3.詩と散文の対比
「リア王」では、**登場人物の身分や場面の雰囲気によって、詩(韻文)と散文が使い分けられています。**
一般的に、高貴な身分の登場人物や、劇的な場面では格調高い詩が用いられます。一方、身分の低い登場人物や日常的な会話では、散文が用いられることが多いです。
この詩と散文の対比によって、登場人物の性格や社会的地位、場面の雰囲気などが効果的に表現されています。