## シェイクスピアのリア王の光と影
リア王における「光」
リア王には、善意、愛、忠誠心といった「光」の要素が随所に描かれています。
* **コーディリアの無償の愛:** コーディリアは、リア王に対して言葉巧みに愛を表現する二人の姉とは対照的に、飾り気のない真実の愛を示します。彼女の愛は、父であるリア王の権力や財産に依存しない、純粋で無償のものです。
* **ケントとグロスターの忠誠心:** リア王の忠臣であるケントとグロスターは、主君に対する揺るぎない忠誠心を示します。彼らは、リア王の誤った判断を諫言し、その結果として追放されることになっても、その忠誠心を捨てません。
* **エドガーの兄弟愛:** グロスターの息子であるエドガーは、兄のエドマンドの陰謀によって窮地に陥れられますが、それでもなお、兄に対する愛情を持ち続けます。彼は、狂気に扮した姿で父を支え、最終的にはエドマンドと対決し、復讐よりも和解を選びます。
リア王における「影」
一方、「光」の要素と対照的に、リア王には、人間の持つ残酷さ、欲望、裏切りといった「影」の部分も色濃く描かれています。
* **リア王の驕りと愚かさ:** リア王は、自身の権力と地位に慢心し、娘たちの言葉の裏を見抜くことができずに、王国を混乱に陥れます。彼の驕りと愚かさは、物語全体の悲劇を生み出す大きな要因となっています。
* **ゴネリルとリーガンの虚偽と野心:** リア王の長女と次女であるゴネリルとリーガンは、父親の財産を手に入れるために、巧みな言葉で愛情を偽ります。彼女たちは、権力への野心を満たすためには、手段を選ばない冷酷さを持ち合わせています。
* **エドマンドの謀略と裏切り:** グロスターの庶子であるエドマンドは、自身の出生に不満を抱き、兄のエドガーを陥れて、父の財産と地位を奪おうとします。彼の悪意に満ちた策略は、周囲の人々を巻き込み、大きな悲劇を引き起こします。
このように、「リア王」は、人間の「光」と「影」の両面を克明に描き出すことで、人間の存在の本質に鋭く迫る作品となっています。