## シェイクスピアのヘンリー六世 第三部と言語
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登場人物と階級による言語の違い
「ヘンリー六世 第三部」では、登場人物の社会的地位や立場によって、使われる言語が明確に区別されています。高貴な身分の者は、洗練された言葉遣いをし、比喩や韻律を用いた表現を多用します。一方、下層階級の人々は、粗野で直接的な表現を用いる傾向があり、方言や俗語も含まれます。
例えば、ヨーク公爵は、自身の権利を主張する際に、次のような雄弁な言葉を用います。
> “Now is the winter of our discontent
Made glorious summer by this sun of York;”
一方、平民たちは、戦乱の混乱の中で、より直接的で生々しい言葉で状況を語ります。
> “A plague upon both your houses! They have made worms’ meat of me.”
このような言語の違いは、登場人物の性格や立場を際立たせると同時に、当時の社会における階級格差を浮き彫りにしています。
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修辞技法とイメージの活用
シェイクスピアは、「ヘンリー六世 第三部」においても、その巧みな言語表現で読者を魅了します。比喩、暗喩、擬人化などの修辞技法を駆使し、登場人物の心情や情景を鮮やかに描き出します。
例えば、ヨーク公爵が自身の運命を嘆く場面では、動物の比喩を用いて、その悲壮感を強調しています。
> “Thus am I bolted, stumbled at and chased;”
また、劇中では、血や戦いを連想させる言葉が頻繁に登場します。これは、薔薇戦争の残酷さ、そして権力闘争の悲惨さを象徴的に表現しています。
これらの修辞技法とイメージの活用により、「ヘンリー六世 第三部」の言語は単なる台詞を超えて、作品全体に深みと広がりを与えています。