## シェイクスピアのヘンリー八世の構成
構成の特徴
「ヘンリー八世」は、シェイクスピアの史劇に分類される作品ですが、他の史劇とは異なり、明確な因果関係を持った筋書きや主人公の成長はあまり見られません。どちらかというと、壮大な歴史絵巻物のように、ヘンリー八世の治世における重要な出来事、特に王妃キャサリンとの離婚とアン・ブーリンとの再婚、そしてエリザベス一世の誕生という一連の流れが、エピソード的に、時系列に沿って描かれます。
五幕構成と主な出来事
劇は全五幕で構成され、それぞれの幕で異なる時間軸と舞台設定が展開されます。
* **第一幕:** ヘンリー八世とキャサリン王妃の宮廷での様子、バッキンガム公の失脚、そしてヘンリー八世とアン・ブーリンの出会いが描かれます。
* **第二幕:** キャサリン王妃の離婚裁判の様子、そしてそれが国民に与えた影響が中心的に描かれます。
* **第三幕:** キャサリン王妃が公の場から退く様子、アン・ブーリンの戴冠式、そしてキャサリン王妃の孤独と悲しみが描かれます。
* **第四幕:** アン・ブーリンの王妃としての立場が危うくなる様子、そしてエリザベス一世の誕生が描かれます。
* **第五幕:** エリザベス一世の洗礼式と、クランマー大司教の未来への予言が劇の最後を飾ります。
場面転換の多さと時間経過
「ヘンリー八世」は場面転換が非常に多く、劇中で十年以上の時間が経過します。これは、シェイクスピアの他の史劇と比較しても特徴的な点です。多くの場合、場面転換は時間の経過を示唆し、歴史的な出来事をテンポよく観客に提示する役割を担っています。