## シェイクスピアのテンペストの構成
劇の構造
「テンペスト」は全5幕構成の戯曲です。これはシェイクスピアの時代の一般的な構造であり、古典的な5幕構成の原則に従っています。
* **第1幕：** 物語の exposition（導入）にあたります。嵐によってミラノ公爵プロスペローとその一行が島に漂着する場面から始まり、プロスペローの過去と彼が魔法使いであることが明かされます。
* **第2幕：** 漂着した人々はそれぞれの思惑で島をさまよい、陰謀が企てられます。プロスペローは精霊エアリアルを使って彼らを操り、娘ミランダとナポリ王の息子ファーディナンドの恋を育みます。
* **第3幕：** プロスペローの魔法によって、ファーディナンドとミランダは恋に落ちます。一方、他の漂着者たちはプロスペローへの復讐を企てますが、彼の魔法によって阻止されます。
* **第4幕：** プロスペローはエアリアルに命じて、仮面劇を上演させます。これは、ファーディナンドとミランダの結婚を祝うと同時に、プロスペロー自身の過去を振り返る象徴的な場面となっています。
* **第5幕：** プロスペローは全ての登場人物を集め、自身の正体を明かします。彼は復讐よりも許しを選び、魔法の力を捨ててミラノ公爵の座に復帰します。最後はプロスペローによるエピローグで締めくくられ、観客に物語の解釈を委ねます。
時間設定
「テンペスト」の劇中の時間設定は、古典的な三一致の原則に従い、ほぼ現実の時間と一致しています。物語は、嵐の場面から始まり、プロスペローが魔法を解くまでのおよそ3時間程度で展開されます。
場所設定
物語の舞台となるのは、ほとんどが「とある島」に限られています。この島は、プロスペローとその娘ミランダが12年間暮らしてきた場所で、彼の魔法の力の源泉でもあります。具体的な場所の描写は少なく、観客の想像に委ねられています。
登場人物の対比
「テンペスト」には、高貴な身分から下層階級、人間以外の精霊まで、様々な階層の登場人物が登場します。プロスペローと彼の弟アントーニオ、ファーディナンドとキャリバンなど、対照的な立場の人物を対比させることで、権力、復讐、自由、愛といったテーマが浮かび上がってきます。