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シェイクスピアのから騒ぎに関連する歴史上の事件

## シェイクスピアのから騒ぎに関連する歴史上の事件

アイルランド征服とイングランド・スペイン間の緊張関係

「から騒ぎ」が書かれた1598年から1599年頃は、イングランドにとって激動の時代でした。エリザベス1世の治世下、イングランドはスペインとの戦争の最中にあり、同時にアイルランド征服を進めていました。これらの出来事は、劇中の権力、名誉、裏切りといったテーマと密接に関係しています。

劇中のドン・ジョンが企てる策略は、当時のイングランドが抱えていたスペインによる陰謀や侵略の脅威を反映していると考えられます。スペインはカトリック国家として、プロテスタントのエリザベス女王を敵視しており、実際にイングランドへの侵攻を試みていました。ドン・ジョンのように、スペインはイングランド内部に工作員を送り込み、混乱や反乱を引き起こそうとしていたのです。

また、劇の舞台であるメッシーナは、シチリア島に実在する都市で、当時スペインの支配下にありました。これは、イングランドにとってスペインが身近な脅威であったことを示唆しています。

さらに、クローディオがヒロの貞操を疑う場面は、当時のイングランド社会における女性の地位の低さと、名誉と結婚に対する強いこだわりを反映しています。当時の女性は、男性の所有物とみなされ、貞操を失うことは、家族の名誉を傷つけるだけでなく、結婚の破談や社会的な孤立を意味しました。クローディオの行動は、現代の視点から見ると極端かもしれませんが、当時の社会規範の中では、理解できないことではありませんでした。

ロバート・デヴルー伯爵の失脚

「から騒ぎ」のストーリーは、一部の歴史家によって、1579年に起こったロバート・デヴルー伯爵とその婚約者、アン・セシルのスキャンダルを基にしているという説があります。デヴルーはエリザベス1世のお気に入りであり、将来を嘱望された貴族でしたが、アンとの結婚直前に、アンが別の男性と関係を持ったという噂が広まりました。

デヴルーは当初、アンを信じようとしましたが、周囲の圧力に屈し、婚約を破棄してしまいました。しかし、後にアンの潔白が証明され、デヴルーは深く後悔することになります。

このスキャンダルは、当時のイングランド社会に大きな衝撃を与え、「から騒ぎ」の創作にも影響を与えた可能性があります。クローディオとヒロの関係は、デヴルーとアンの関係を彷彿とさせ、名誉と信頼、そして誤解がもたらす悲劇を描いています。

また、「から騒ぎ」には、デヴルー伯爵と親交のあったウォルター・ローリー卿をモデルにしたとされるキャラクターが登場するという説もあります。劇中のベネディックは、ウィットに富み、皮肉屋の面を持つ魅力的な男性として描かれていますが、これはローリー卿の人物像と重なるところがあります。

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