## サリンジャーのライ麦畑でつかまえてに関連する歴史上の事件
事件１：ジョン・レノン射殺事件（1980年）
1980年12月8日、マーク・チャップマンはニューヨークでジョン・レノンを射殺しました。チャップマンはこの事件の数時間前、レノンに『ライ麦畑でつかまえて』にサインをもらっていました。彼は逮捕後、自身の行動は小説に影響されたと供述し、自身をホールデン・コールフィールドと重ね合わせていました。
チャップマンはホールデンと同じく、社会の偽善性に嫌悪感を抱いており、レノンを「偽善者」と見なしていました。彼はレノンが商業的な成功を収めたことで、かつて理想としていた純粋さを失ったと感じていたようです。
この事件は、『ライ麦畑でつかまえて』が持つ影の部分、特に社会への反発や疎外感といったテーマが、現実の暴力と結びつく危険性を浮き彫りにしました。
事件２：ロナルド・レーガン大統領暗殺未遂事件（1981年）
1981年3月30日、ジョン・ヒンクリー・ジュニアは、ロナルド・レーガン大統領に向けて発砲し、重傷を負わせました。ヒンクリーは事件後、映画『タクシードライバー』に影響を受けたと供述しました。この映画は、売春婦の少女を救おうとする孤独な男の姿を描いており、『ライ麦畑でつかまえて』の世界観と共通点が見られます。
ヒンクリーは、『タクシードライバー』の主人公と同様に、社会から孤立し、自身の存在意義を見出せないでいました。彼は事件を起こすことで、映画の主人公のように、世間の注目を集め、自分の存在をアピールしようとしたと考えられています。
この事件は、フィクションの世界に没頭することで、現実と虚構の境界線が曖昧になり、危険な行動に走ってしまう可能性を示唆しています。