サドのジュスティーヌの力
ジュスティーヌの道徳的力
サドの小説「ジュスティーヌ」における主人公ジュスティーヌは、悪徳と暴力に満ちた世界において、自己の純粋さと道徳を最後まで守り抜く女性として描かれます。彼女のこの揺るぎない道徳的信念は、周囲の人間からの誘惑や、降りかかる数々の不幸な出来事にも決して屈することなく、作中を通して一貫して表現されています。
受動性と忍耐の力
ジュスティーヌは、自らの身に降りかかる苦難に対して、積極的に抵抗するのではなく、むしろ受動的に耐え忍ぶことを選択します。これは一見、弱さや無力さの表れと解釈することもできます。しかし、サドは、彼女のこの受動性の中にこそ、逆説的な力が存在することを示唆していると言えるでしょう。
読者への問いかけ
サドは、ジュスティーヌの受難を通して、読者に既存の道徳観や正義、善悪の概念について根本的な問いを投げかけています。悪が横行し、善が罰せられる世界において、果たして純粋さや道徳はどのような意味を持つのか? ジュスティーヌの物語は、容易な答えを与えてくれるわけではありません。
これらの要素を通して、サドは「ジュスティーヌ」の中で、力とは何か、真の強さとは何かを問いかけ、読者に深い考察を促していると言えるでしょう。