## ゴールディングの蝿の王の話法
語り – 一人称か三人称か？
『蠅の王』は三人称の語りによって書かれています。語り手は作中の出来事や登場人物の思考や感情を客観的に描写します。ただし、語り手は特定の人物の視点に寄り添うことが多く、特にラルフやジャック、ピギーなどの主要人物の視点を通して物語が展開されます。
視点 – 神視点か限定視点か？
物語は主に三人称限定視点で進みます。これは、語り手が特定の一人の登場人物の視点から物語を語る手法です。例えば、ある場面ではラルフの視点、別の場面ではジャックの視点で物語が語られます。ただし、一部の場面では、語り手は登場人物の誰も知らない情報や、未来の出来事に関する情報を提示することもあります。このような箇所では、物語は全知視点に近づくと言えます。
文体 – 特徴的な表現や修辞技法は？
ゴールディングは簡潔で力強い文体を用い、比喩や象徴を効果的に使用することで、人間の野蛮性や自然の力強さを鮮やかに描き出しています。例えば、少年たちが火を起こすために使用する眼鏡は、文明と理性の象徴として描かれますが、同時に、その火が制御不能な暴力に結びつくことで、文明の脆さをも暗示しています。
その他 – 対話や描写の特徴
物語では、登場人物たちの年齢や社会的地位、性格に応じて、それぞれ異なる話し方が描写されています。例えば、教養があり理性的なピギーは、文語的な表現を交えた丁寧な言葉遣いをしますが、粗暴で衝動的なジャックは、乱暴な言葉遣いをします。また、自然描写は、物語の舞台となる無人島の美しさと残酷さの両面を描き出すとともに、登場人物たちの心理状態を反映する役割も担っています。