コンラッドの闇の奥の技法
語り
コンラッドは『闇の奥』において、複雑な入れ子型の枠物語という形式を採用しています。物語は、テムズ川に停泊する船の上で、語り手であるマーロウが、自分のコンゴ川遡上の経験を語り始めるという形で始まります。
マーロウの語りは、直接話法で語られるため、読者は彼の視点を通して物語を体験することになります。しかし、彼の語りはしばしば断片的であり、時系列も前後するため、読者は常に注意深く耳を傾け、物語のピースを自ら組み立てていく必要があります。
また、マーロウ自身の性格や価値観も、物語の解釈に大きく影響を与えます。彼は経験豊富で思慮深い人物として描かれていますが、同時に西洋文明に対する皮肉な視点も持ち合わせています。
象徴主義
『闇の奥』は、様々な象徴に満ちた作品です。コンゴ川そのものが、ヨーロッパの帝国主義がアフリカにもたらした負の遺産を象徴していると考えられます。
また、クルツという謎めいた人物は、西洋文明の持つ野蛮性や、権力が人間を堕落させる様を象徴していると言えます。
さらに、霧や闇といった自然現象も、人間の心理状態や、未知の世界に対する恐怖を象徴するものとして効果的に用いられています。
植 colonialism の批判
『闇の奥』は、植民地主義に対する痛烈な批判を含む作品としても知られています。コンラッドは、物語を通して、ヨーロッパ人がアフリカで行った搾取や暴力を容赦なく描き出しています。
また、クルツという人物を通して、一見すると高尚に見える西洋文明の理想が、現実には greed や残虐性に根ざしている可能性を示唆しています。
さらに、コンラッドは、植民地支配が、支配する側とされる側の双方に計り知れない damage をもたらすことを明らかにしています。