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コンラッドのノストロモの面白さ

コンラッドのノストロモの面白さ

ノストロモ号という閉鎖空間が生み出す緊張感とサスペンス

「ノストロモ」の舞台となるのは、大半が海に囲まれた南米の独立した架空の国コスタグァヤです。この国の銀山会社で働く労働者たちを乗せて、沖合の島から本土へと銀を輸送するのが貨物船ノストロモ号です。ノストロモ号は、外界から隔絶された閉鎖空間として描かれ、登場人物たちの行動や心理に大きな影響を与えています。

複雑に絡み合う人間関係と心理描写

コンラッドは、ノストロモ号という特殊な環境下における人間の心理を巧みに描いています。船長をはじめとする乗組員、銀山会社の経営者、そして革命家など、様々な立場の人物が登場し、それぞれの思惑が複雑に絡み合います。特に、船長のノストロモと、銀を盗み出した男、ノガレスとの対比が印象的です。ノストロモは、船長としての責任感と、彼なりの正義感を持つ人物として描かれています。一方、ノガレスは、自己中心的で冷酷な性格であり、銀を盗み出すことで、他の乗組員を危険にさらします。コンラッドは、このような対照的な人物を対比させることで、人間の善悪の複雑さを浮き彫りにしています。

重厚なテーマと寓意

「ノストロモ」は、単なる海洋冒険小説ではなく、人間の欲望、暴力、そして政治的な腐敗といった普遍的なテーマを扱っています。銀という物質的な欲望が、登場人物たちの行動を支配し、やがては破滅へと導いていきます。また、コスタグァヤという国の政治的な不安定さは、革命家たちの暗躍や、銀山会社と労働者との対立を生み出します。コンラッドは、これらの要素を巧みに織り交ぜることで、人間の愚かさや社会の矛盾を描き出しています。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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