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コンドルセの人間精神進歩史の批評

## コンドルセの人間精神進歩史の批評

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楽観主義と進歩史観に対する批判

コンドルセの「人間精神進歩史」は、人間理性の進歩と社会の完成に向けた楽観的な見方を提示していることで広く知られています。 彼は歴史を10段階に分け、各段階における科学や芸術、道徳、政治などの進歩を跡づけ、最終的に人類が啓蒙と幸福を実現する未来を描きました。

しかし、このような楽観的な進歩史観は、現実の歴史における戦争や貧困、抑圧などの負の側面を軽視しているという批判があります。 コンドルセは人間の理性に基づいた教育や啓蒙によって社会が悪を克服していくと主張しましたが、実際には理性や科学が悪用されるケースも少なくありません。 ナチスドイツによるホロコーストはその一例と言えるでしょう。

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ヨーロッパ中心主義的な視点

コンドルセの進歩史観は、ヨーロッパ文明を頂点とした進歩の段階を設定しており、ヨーロッパ中心主義的な偏りがあるという指摘もあります。彼はヨーロッパ以外の文明や文化を「未開」あるいは「野蛮」とみなし、西洋文明の優位性を強調しました。

しかし、このようなヨーロッパ中心主義的な視点は、多様な文化や価値観を相対化し、西洋文明による植民地支配を正当化する根拠となりうる危険性をはらんでいます。

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科学技術万能主義

コンドルセは、科学技術の進歩が人間の幸福に貢献すると信じていましたが、実際には科学技術の発展が環境破壊や格差拡大などの新たな問題を生み出す側面も持ち合わせています。 例えば、産業革命以降の大量生産・大量消費は、地球温暖化や資源枯渇といった深刻な問題を引き起こしています。

コンドルセは科学技術の進歩がもたらす負の側面を十分に予見しておらず、科学技術万能主義に陥っているという指摘もあります。

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