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ケルゼンの純粋法学の原点

## ケルゼンの純粋法学の原点

純粋法学の動機

ケルゼンは、法学が法以外の要素、例えば、道徳や政治から影響を受けずに、純粋に法それ自体として研究されるべきだと考えました。これは、当時の法学が、法と道徳を混同したり、政治的なイデオロギーに影響されたりしているという問題意識から来ています。ケルゼンは、このような状況では、法学は客観的な科学としての厳厳しさを持ち得ないと考え、法を法以外の要素から切り離し、「純粋に」研究する必要性を主張しました。

新カント主義の影響

ケルゼンの純粋法学は、新カント主義、特にハインリヒ・リッカートやマルクス主義との対決を通して形成されました。新カント主義は、人間の認識はアプリオリな枠組みによって規定されているという考え方を重視し、客観的な知識の獲得を目指しました。ケルゼンは、この新カント主義の方法論を法学に適用することで、法を客観的に認識し、純粋に法学を構築できると考えました。

法実証主義との関係

ケルゼンの純粋法学は、法実証主義の潮流に位置づけられます。法実証主義は、「法とは何か」という問題について、法と道徳を切り離し、制定された法(positive law)こそが法であると主張する立場です。ケルゼンもまた、法と道徳を明確に区別し、法の妥当性を道徳とは独立に基礎づけようとしました。

規範体系としての法

ケルゼンは、法を「規範の体系」として捉えました。彼の考える規範は、「~すべきである」という形で表現されるものであり、人間の行為を強制的に規制する力を持ちます。そして、法は、これらの規範が上位の規範によって正当化され、ピラミッド型の階層構造を成している体系として理解されました。

基本規範

ケルゼンは、法体系の最高規範として「基本規範」を導入しました。基本規範は、それ自体が他のいかなる規範からも導き出されることのない、法体系の究極的な妥当性の根拠となる規範です。基本規範は、法秩序を構成する行為が妥当であることを前提とする「仮説」として機能し、法体系の統一性と客観性を保証する役割を担います。

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