Skip to content Skip to footer

ケインズの雇用・利子・貨幣の一般理論の仕組み

## ケインズの雇用・利子・貨幣の一般理論の仕組み

###

古典派経済学への批判

ケインズは、当時の主流であった古典派経済学が、1930年代の世界恐慌を説明できないと考えていました。古典派経済学は、「供給は自身の需要を生み出す」というセイの法則に基づき、市場メカニズムが常に完全雇用をもたらすと考えていました。しかし、世界恐慌下では、供給過剰と失業が同時に発生しており、これは古典派経済学の理論と矛盾していました。

###

有効需要の原理

ケインズは、雇用量を決定するのは、総供給ではなく総需要であると主張しました。ケインズはこれを「有効需要の原理」と呼びました。有効需要とは、財・サービスに対する総需要のうち、実際に生産活動に結びつく需要を指します。有効需要が増加すると、企業は生産を拡大し、雇用が増加します。逆に、有効需要が減少すると、企業は生産を縮小し、雇用は減少します。

###

有効需要の構成要素

ケインズは、有効需要を以下の4つの要素に分解しました。

* **消費需要**: 家計による財・サービスへの需要
* **投資需要**: 企業による設備投資への需要
* **政府支出**: 政府による財・サービスへの需要
* **純輸出**: 輸出から輸入を差し引いたもの

これらの要素のうち、ケインズは特に投資需要の変動に着目しました。

###

投資の決定要因:利子率と期待

ケインズは、投資需要が利子率と将来の収益に対する期待によって決定されると考えました。利子率が低下すると、投資の資金調達コストが低下するため、投資需要は増加します。また、将来の収益に対する期待が高まると、企業は積極的に投資を行うようになり、投資需要は増加します。

###

流動性選好説

ケインズは、利子率が貨幣市場の均衡によって決定されると考えました。ケインズは、人々が資産を保有する際に、流動性の高い貨幣を保有したいという欲求を持つと考え、これを「流動性選好」と呼びました。利子率は、貨幣の流動性を犠牲にすることへの対価として解釈されます。利子率が低い場合には、人々は貨幣を保有することによる機会費用が小さいため、貨幣への需要が高まります。逆に、利子率が高い場合には、貨幣保有の機会費用が大きいため、貨幣への需要は低下します。

###

乗数効果

ケインズは、政府支出や投資などの自律的な需要の増加が、国民所得をそれ以上の規模で増加させる効果を持つことを示しました。これを「乗数効果」と呼びます。これは、ある経済主体による支出の増加が、他の経済主体の所得となり、その所得増加がさらに別の経済主体の支出増加につながるという循環的なプロセスを通じて説明されます。

ケインズの「雇用・利子・貨幣の一般理論」は、マクロ経済学の基礎を築き、その後の経済学に大きな影響を与えました。特に、有効需要の原理や乗数効果は、政府による財政政策の理論的な根拠として用いられています。

Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

Leave a comment

0.0/5