## クロポトキンのフランス革命史の光と影
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光
クロポトキンは、従来の歴史観が見過ごしてきた民衆の視点からフランス革命を捉え直し、民衆の能動性と創造性を鮮やかに描き出しました。彼は、革命を単なる政治的変革としてではなく、社会構造の根底的な変革を目指した民衆運動として捉え、革命期に民衆が自発的に組織したコミューンや労働組合などの相互扶助組織に注目しました。
クロポトキンは、膨大な資料を渉猟し、民衆の日常生活や意識にまで踏み込んだ分析によって、民衆が自由、平等、友愛という革命の理念を実現するために、いかに主体的に行動したのかを明らかにしました。特に、農民の土地所有要求や都市労働者の生活改善要求など、経済的な要求が革命の原動力となったことを強調し、従来の政治史中心の見方に一石を投じました。
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影
クロポトキンは、革命の理想を高く評価するあまり、革命に伴う暴力や恐怖政治については、比較的抑制的に記述する傾向がありました。彼は、革命期の暴力行為を、旧体制の抑圧に対する民衆の当然の反応として擁護し、恐怖政治については、革命の敵から革命を守るためのやむを得ない措置として弁明しました。
しかし、革命期の暴力行為がエスカレートし、無実の人々までもが犠牲になった事実や、恐怖政治がロベスピエール派による独裁へとつながった事実を無視することはできません。クロポトキンの記述は、革命の理想主義的な側面を強調するあまり、革命の負の側面を十分に検証していないという批判もあります。