## クックのイギリス法提要と言語
エドワード・クック卿と「イギリス法提要」
エドワード・クック卿(1552-1634)は、イギリスの法律家、裁判官、そして政治家でした。彼はイギリス法の歴史において最も重要な法学者の一人とされ、彼の著作は今日でも法的先例として引用されています。クックの最も有名な著作は、「イギリス法提要」(Institutes of the Lawes of England)です。
「イギリス法提要」の内容と構成
「イギリス法提要」は、4つの部分からなる、イギリスのコモン・ローに関する包括的な解説書です。
* **第一部**: 財産法、特に土地所有権に関する法律を扱っています。
* **第二部**: 当時の制定法、特にマグナ・カルタなどの重要な法律を解説しています。
* **第三部**: 重罪と刑事訴訟を扱っています。
* **第四部**: 裁判所の管轄と訴訟手続きを扱っています。
「イギリス法提要」の言語: 法フランス語とラテン語の影響
「イギリス法提要」は、主に英語で書かれていますが、法フランス語とラテン語の影響を強く受けています。これは、クックの時代には、法律用語や法廷での議論に、法フランス語とラテン語が依然として広く使用されていたためです。
* **法フランス語**: ノルマン征服(1066年)以来、イギリスの法律言語として使用されてきました。クックの時代には、すでに衰退しつつありましたが、法律文書や専門用語には、依然として多くの法フランス語が残っていました。「イギリス法提要」でも、多くの法フランス語の用語や表現が使われています。
* **ラテン語**: 中世を通じて、ヨーロッパにおける学問と法律の共通語でした。クックは、ラテン語にも堪能であり、「イギリス法提要」の中で、ラテン語の格言や法原則を頻繁に引用しています。
「イギリス法提要」の言語: 平易さと明快さを目指して
クックは、「イギリス法提要」を、法律の専門家だけでなく、一般の人々にも理解できるように書くことを目指しました。そのため、彼は、可能な限り平易で明快な英語を使用しようと努めました。
* **複雑な法理論を分かりやすく解説**: クックは、複雑な法理論を、例え話や実例を用いて、分かりやすく解説しています。
* **一般の人々にも理解できる言葉**: 当時の法律書では、難解な専門用語が頻繁に使用されていましたが、クックは、できるだけ一般の人々にも理解できる言葉を使うように心がけました。
「イギリス法提要」の言語: 後世への影響
「イギリス法提要」は、その出版後、イギリス法の学習と実践において、標準的な教科書となり、その後のイギリス法の発展に大きな影響を与えました。クックの明快で体系的な文章は、後の法律書の模範となり、英語による法律用語の確立にも貢献しました。