ギールケのドイツ団体法を読んだ後に読むべき本
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現代会社法とギールケ―「法の窮極の具体的統一」を求めて
ギールケのドイツ団体法は、近代法における法人理論の金字塔として、現代の会社法にも多大な影響を与え続けています。その難解さと深淵さゆえに、読破した後には、更なる探求心と同時に、茫漠とした感覚に襲われるかもしれません。そこで、次に読むべき一冊としておすすめしたいのが、本書「現代会社法とギールケ―「法の窮極の具体的統一」を求めて」(神作裕之著、商事法務研究会)です。
本書の魅力は、ギールケの法人理論を現代会社法の文脈に位置づけ、その現代的な意義を鮮やかに浮き彫りにしている点にあります。特に、ギールケの理論的到達点とも言える「法の窮極の具体的統一」という概念を軸に、現代会社法における重要なテーマである、株式会社の制度設計、企業統治、株主と経営者の関係などが深く考察されています。
例えば、株主総会や取締役会といった機関設計は、単なる法律の規定ではなく、ギールケの言う「現実の意思統一」を実現するための具体的な装置として理解することができます。また、近年注目されるステークホルダー主義についても、ギールケの法人理論を踏まえることで、単なる利益分配の対象を超えた、企業を支える重要な構成員としての位置づけが見えてきます。
本書は、ギールケの理論を解説するだけでなく、現代会社法の課題や展望を提示する点においても、大変示唆に富んでいます。ギールケの難解な理論を理解するための良質なガイドブックであると同時に、現代社会における企業と法のあり方を根本から問い直す、知的刺激に満ちた一冊と言えるでしょう。