ギボンのローマ帝国衰亡史が関係する学問
歴史学
ギボンの『ローマ帝国衰亡史』は、出版と同時に歴史学の分野に大きな影響を与えました。膨大な量の一次資料を渉猟し、詳細な記述と大胆な解釈でローマ帝国の衰亡を描いた本書は、歴史叙述の新たな基準を打ち立てました。特に、ギボンが駆使した批判的な史料分析の手法は、その後の歴史学研究に多大な影響を与え、歴史学を単なる年代記から、証拠に基づいた学問へと発展させる上で重要な役割を果たしました。
ローマ史研究
ギボンの著作は、ローマ帝国史研究においても重要な位置を占めています。共和政ローマから東ローマ帝国滅亡までの長期にわたる歴史を包括的に扱っており、政治、軍事、経済、文化など、多岐にわたる側面からローマ帝国を分析しています。特に、キリスト教の興隆とローマ帝国の衰退の関係についての考察は、その後のローマ史研究に大きな影響を与え、多くの論争を巻き起こしました。
啓蒙主義
ギボン自身も影響を受けた啓蒙主義の思想は、『ローマ帝国衰亡史』にも色濃く反映されています。彼は、理性と進歩を重視する啓蒙主義の立場から、ローマ帝国の衰退を、キリスト教の普及による道徳の退廃や、専制政治の弊害といった要因から説明しようとしました。このようなギボンの歴史観は、当時の啓蒙主義者たちに広く受け入れられ、本書は啓蒙主義を代表する歴史書として、後世に大きな影響を与えました。
文学
ギボンの『ローマ帝国衰亡史』は、その文学的な価値の高さでも知られています。彼は、洗練された文体と劇的な表現を用いて、ローマ帝国の興亡を壮大な物語として描き出しました。特に、彼の皮肉と風刺に満ちた筆致は、多くの読者を魅了し、本書が歴史書であると同時に、優れた文学作品としても評価される要因となっています。