ギゾーのヨーロッパ文明史の位置づけ
### ギゾーのヨーロッパ文明史とは?
フランソワ・ピエール・ギヨーム・ギゾー(1787-1874)は、七月王政期のフランスを代表する歴史家であり政治家です。彼が1828年からソルボンヌ大学で行った講義録をもとに出版されたのが、『ヨーロッパ文明史』です。原題は”Histoire générale de la civilisation en Europe”(ヨーロッパにおける文明の一般的歴史)と言い、15世紀から1789年のフランス革命までを扱っています。
### 歴史書としての特徴と評価 ###
ギゾーは本書において、ヨーロッパ文明を「自由の精神」の発展という観点から捉えました。彼は、ゲルマン民族のもたらした自由の精神が、キリスト教やローマ法と融合することで、中世ヨーロッパを形成したと主張します。そして、ルネサンスや宗教改革、啓蒙主義といった歴史的出来事を経て、自由の精神が徐々に発展していく過程を描写しました。
### ギゾーの歴史観 ###
ギゾーはヘーゲル的な歴史観の影響を受けており、歴史を「理性」あるいは「精神」の進歩発展の過程として捉えました。彼にとってヨーロッパ文明は、他の文明に比べて進歩した段階にあり、その進歩を支えたのは理性と自由の精神でした。
### 当時の歴史学における位置づけ ###
ギゾーの『ヨーロッパ文明史』は、19世紀における代表的な歴史書の一つとして、ヨーロッパ中で広く読まれました。特に、自由主義的な歴史観は、当時の知識人たちに大きな影響を与えました。
### 後世への影響 ###
ギゾーの歴史観は、その後の歴史学に大きな影響を与えましたが、同時に批判も受けてきました。特に、ヨーロッパ中心主義的な視点や、歴史を「進歩」という単線的な過程として捉えている点などが批判の対象となっています。
### 現代における意義 ###
現代においても、『ヨーロッパ文明史』は、19世紀のヨーロッパにおける歴史観や思想を理解する上で重要な文献です。また、ギゾーが提示した歴史観は、現代の我々が歴史をどのように捉えるべきかを考える上での視点を提供してくれます.
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。