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キケロの老年について

## キケロの老年について

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執筆背景

『老年について』は、紀元前43年、キケロが62歳の頃に執筆されました。これは、ローマが内乱の渦中にあった時期であり、キケロ自身も政治的に困難な状況に置かれていました。彼は、共和政の崩壊とカエサルの独裁を目の当たりにし、自身の政治的なキャリアも終わりを迎えていました。

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作品概要

『老年について』は、対話篇という形式で書かれており、登場人物たちが老年について語り合います。主な登場人物は、
ローマの伝説的な政治家であるカトー、そして彼の友人であるスキピオとレイリウスです。カトーは、老齢にもかかわらず活力に満ち、知恵と経験に豊かである人物として描かれています。彼は、老いを受け入れ、その利点を享受することの重要性を説きます。

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主なテーマ

この作品では、老いに対する一般的な偏見、例えば、老いは肉体的にも精神的にも衰退する時期であるとか、老人は社会の重荷になるだけであるといった考え方が取り上げられ、反駁されています。
具体的には、以下の4つのテーマについて論じられています。

1. **老いは活動の妨げにならないこと:** カトーは、老いても活動的な人生を送ることができると主張します。彼は、肉体的な衰えは精神的な活動によって補うことができると述べています。
2. **老いは知恵と経験をもたらすこと:** カトーは、老いは人生経験を積むことで知恵と洞察力を得る時期であると主張します。
3. **老いは死への準備期間であること:** カトーは、老いは死について考えるための時間があると述べています。彼は、死を恐れるのではなく、自然な出来事として受け入れるべきだと主張します。
4. **魂の不滅性:** カトーは、肉体は滅びても魂は不滅であるというプラトンの思想を信じていました。彼は、死後、魂は天上の世界へ旅立ち、永遠の幸福を得ると信じていました。

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影響

『老年について』は、古代ローマだけでなく、後世にも大きな影響を与えた古典作品です。ルネサンス期には、人文主義者たちによって再評価され、老いの尊厳と知恵を称える作品として広く読まれました。
今日でも、老いに対する考え方、人生の意味、死への向き合い方など、普遍的なテーマについて考えさせてくれる作品として、多くの人々に愛読されています。

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