Skip to content Skip to footer

キケロの弁論術についての美

## キケロの弁論術についての美

キケロにとっての弁論術と美の関係

キケロにとって、弁論術は単なる技術ではなく、美しさを持つ芸術でした。彼は、優れた弁論家は言葉によって聴衆を魅了し、説得し、感動を与えることができると考えていました。そのため、弁論術には、論理的な構成力や正確な言葉遣いだけでなく、美的な魅力が不可欠であると説いています。

「弁論術について」における美の要素

「弁論術について」の中で、キケロは具体的な美の要素として、以下の3つを挙げています。

* **dignitas(尊厳)**: 高尚な言葉遣いや、威厳を感じさせる表現を用いることで、聴衆に尊敬の念を抱かせ、発言に重みを与えることができます。
* **venustas(快楽)**: 円滑で心地よいリズムを持つ文章構成や、洗練された比喩表現を用いることで、聴衆に美的快楽を与え、話に引き込むことができます。
* **gravitas(荘重)**: 重要な内容を扱う際には、言葉遣いや表現に節度と抑制を効かせ、真摯で誠実な態度を示すことが重要です。

三要素の調和

キケロは、これらの要素をバランス良く組み合わせることで、最も効果的な弁論が実現すると考えました。例えば、尊厳ばかりを追求すると、聴衆は退屈してしまいます。一方で、快楽ばかりを追求すると、内容の軽薄さが際立ち、説得力を失ってしまいます。状況や目的に応じて、三要素を適切に調和させることが、優れた弁論家には求められるのです。

美と倫理の関係

キケロは、弁論術における美は、単なる表面的な装飾ではなく、倫理的な行動と深く結びついていると考えていました。彼は、真の弁論家は、美辞麗句を駆使して人々を欺くのではなく、正義と公共の利益のためにその能力を用いるべきだと主張しました。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5