## キケロの弁論術についてと時間
### 弁論術における時間の重要性
キケロは、弁論術において時間管理が極めて重要であると考えていました。彼の著作である『弁論家について』の中で、弁論家は聴衆の集中力が続く限り、かつ、主張を効果的に伝えるのに十分な時間だけ話すべきだと述べています。
### 時間配分と構成
キケロは、弁論を構成する各部分（導入、事実提示、論証、反駁、結論）に適切な時間を割り当てることを推奨しました。例えば、複雑な事件であれば事実提示に時間を割き、明白な事件であれば論証に重点を置くなど、状況に応じて柔軟に対応する必要があると説いています。
### 時間と効果的な弁論
キケロは、時間の制約を逆手に取ることで、より効果的な弁論が可能になるとも考えていました。制限時間内に主張を凝縮して伝えることで、聴衆の集中力を維持し、より強い印象を与えることができると考えたのです。
### 時間感覚と訓練
優れた弁論家になるためには、正確な時間感覚を身につけるための訓練が不可欠だとキケロは強調しました。彼は、日頃から時間を意識して発言する練習や、水時計などを用いた時間配分の練習を行うことを推奨しました。